OBD 検査とは
最近の車には、電子制御装置の状態を自分で診断して記録する装置(車載式故障診断装置、OBD)が付いています。OBD 検査は、この記録の中に、保安基準に適合しない故障を示すもの(特定 DTC)が無いかを確かめる検査で、2024年10月1日(輸入車は2025年10月1日)から車検の項目に加わりました。
検査の対象になる装置は、国土交通省の一覧(2025年6月17日時点)で次のように示されています。対象の車と検査の開始時期は装置ごとに決まっており、輸入車は表の時期の1年後です。
| 装置(通称) | 対象になる車 | 検査の開始 |
|---|---|---|
| 運行補助機能、ABS、横滑り防止装置、自動ブレーキ、ブレーキアシスト、排出ガス等発散防止装置、車両接近通報装置、自動運行装置 | 2021年10月以降の新型車 | 2024年10月 |
| 車線逸脱警報装置、側方衝突警報装置 | 2026年9月以降の新型車 | 2029年9月 |
| ペダル踏み間違い時加速抑制装置 | 2028年9月以降の新型車 | 2031年9月 |
対象車の見分け方
対象になるのは、2021年10月1日(輸入車は2022年10月1日)以降に型式指定を受けた新型車(フルモデルチェンジした車)です。軽自動車も含まれ、軽自動車の検査は軽自動車検査協会で行われます。二輪自動車・大型特殊自動車・被牽引自動車は対象外で、型式指定を受けていない並行輸入車なども対象外です。
対象の車は、車検証の備考欄に「OBD検査対象」と記載されます。車検証の電子的な記録(IC タグ)には、これに加えて OBD 検査が始まる年月日(OBD 検査開始年月日)が記録されます。
備考欄に「OBD検査対象」とあっても、型式指定の日から2年と、初めての登録(軽自動車は新規検査)から10か月の両方が経つまでは、OBD 検査の対象になりません。そのため、備考欄だけで判断せず、検査の当日に特定 DTC 照会アプリで要否を確かめます。国土交通省は、指定工場の完成検査の注意点として次の順で確かめるよう通知しています。
- 車検証の備考欄に「OBD検査対象」と記載があるかを見る
- 車検証の備考欄等にある「OBD検査開始年月日」を見る
- その日に至っていれば、特定 DTC 照会アプリで OBD 検査の要否を詳しく確かめる
車検証の備考欄に「OBD検査対象」の記載が無ければ、OBD 検査の対象外です。記載があっても、OBD 検査開始年月日に至っていなければ、まだ対象になりません。至っていれば、特定 DTC 照会アプリで OBD 検査用サーバーに照会し、必要と判定されなければ OBD 検査は行いません。必要と判定されたら、検査用スキャンツールをつないで OBD 検査を行います。
検査の流れ
OBD 検査は、OBD 検査システムに登録した事業場が、認定を受けた検査用スキャンツールと特定 DTC 照会アプリを使って行います。システムに入れるのは、自動車技術総合機構・軽自動車検査協会・指定工場・認証工場などの関係者に限られています。審査事務規程に書かれた手順は次のとおりです。
- 備考欄に OBD 検査の対象と記載された車について、OBD 検査が必要かをアプリから OBD 検査用サーバーに照会する
- 必要と判定されたら、原動機を止めて電源を切った状態で、データリンクコネクタに検査用スキャンツールをつなぐ
- 原動機をかける(電気自動車・ハイブリッド車は READY の状態にする)
- 故障診断装置の記録を読み出してサーバーに照会する。照会の間はアイドリング(または READY)を保つ
- サーバーが照合した結果をアプリで確かめる
- 原動機を止め、電源を切ってからスキャンツールを外す
不適合だったときにすること
OBD 検査で不合格になった車は、修理しなければ車検に通りません。国土交通省はユーザー向けの案内で、修理は地方運輸局長などの認証を受けた整備工場で行う必要があるとしています。
国土交通省のモニタリング会合では、開始から1か月の主な不適合の原因として「通信途絶系の特定 DTC」「レディネスコードなし」「通信不成立」が挙げられています。警告灯が点いていない車でも、特定 DTC が記録されていれば、保安基準に適合しない故障があると推断される状態として扱われます。
修理して DTC を消したあとは、自己診断が終わった印(レディネスコード)が記録されていないと「レディネスコードなし」で不適合になります。国土交通省は、いずれか1つのレディネスコードが記録されていれば検査が成り立つとしています。記録される条件は車種ごとに違うため、メーカーの情報で確かめます。
指定工場では、国土交通省の判定フロー(2025年12月版)に沿って、不適合の内容を確かめ、自工場で整備できるか、指定整備で外部に委託できる作業かを判断し、出来映えを確かめてから再び OBD 検査を行います。DTC を消す作業だけであれば、外部に委託できる作業に当たるとされています。
運輸支局や軽自動車検査協会に持ち込んだ継続検査で保安基準に適合しないとされた場合は、使用の停止が必要なときを除き、有効期間15日の限定自動車検査証が交付されます(道路運送車両法第71条の2)。この間に、記載された不適合の部分を整備して受け直します。ただし、整備や再検査のために車を走らせてよいのは、もとの車検証の有効期間の中に限られます。もとの車検証の満了日が15日の期限より早く来るときは、満了日までに受け直す段取りにします。
指定工場の完成検査で不適合になったときは、判定フローに沿って不適合の内容を確かめ、自工場で整備するか、外部に委託できる作業かを判断します。DTC を消す作業だけなら外部に委託できます。出来映えを確かめてから、再び OBD 検査を行います。運輸支局や軽自動車検査協会の継続検査で不適合になったときは、使用の停止が必要なときを除き、有効期間15日の限定自動車検査証が交付されます。記載された不適合の部分を認証を受けた整備工場で整備し、15日の間に受け直します。走らせてよいのはもとの車検証の有効期間の中だけなので、満了日が早く来るときはそれまでに受け直します。
- 不適合の内容(どの装置のどの DTC か)を記録し、お客様に伝える
- 原因を修理する(汎用の整備用スキャンツールで確かめられない・消せない場合は、その車のディーラーへの相談も検討する)
- DTC を消したあと、メーカーの条件に沿ってレディネスコードが記録された状態にする
- 改めて OBD 検査(認証工場の持込みでは OBD 確認)を行い、適合を確かめる
- 合格のあとに OBD にかかわる作業を足さない。足したときは、改めて確かめる
OBD 点検・OBD 検査・OBD 確認の違い
似た言葉に「OBD 点検」「OBD 確認」があります。国土交通省の資料では、次のように区別されています。
OBD 確認は、認証工場(自動車特定整備事業者)が検査用スキャンツールで OBD 検査用サーバーに照会し、適合かどうかを確かめる任意の手続きです。結果が適合なら、照会した日を含めて5日までの間は、検査場で OBD 検査を省略できる旨の応答が出ます(その場合も、検査場では警告灯が点き続けていないかを確かめます)。ただし、無作為の抜取りや不正が疑われる場合は、検査場で改めて OBD 検査が行われます。持込みの車検の前に OBD 確認をしておくと、特定 DTC の有無を前もって確かめられ、検査場での不適合に備えられます。
| 区分 | OBD 点検 | OBD 検査 | OBD 確認 |
|---|---|---|---|
| 制度 | 定期点検整備 | 検査(車検) | 任意(実施の義務はなし) |
| 対象 | OBD を搭載するすべての車(年式を問わない) | 2021年10月1日以降の新型車(輸入車は2022年10月1日以降) | OBD 検査が必要な車 |
| 時期 | 12か月ごと | 車検時(指定工場は完成検査時、持込みは検査時) | 完成検査以外での適否の確認、持込検査での省略 |
| 方法 | 整備用スキャンツールで、整備が必要な故障コードがあれば整備 | 検査用スキャンツールで機構のサーバーに照会して自動で判定 | 検査用スキャンツールで機構のサーバーに照会して自動で判定 |
工程に入れておくこと
OBD 検査は、車を受け入れてからの工程の途中で不適合が分かると、修理の部品待ちや再検査で納車が延びます。予約と受入れの段階で対象かどうかを確かめ、再検査の枠を前もって考えておくと、リフトと検査ラインの段取りが崩れにくくなります。
指定工場の完成検査では、OBD 検査は必要な整備をしたあと、完成検査の一環として行うのが原則です。ただし、自動車検査員が受入れのときに OBD 検査を行い、そのあと合否に影響する整備や改造をしなければ、合格とみなしてよいとされています(検査の合理化)。どの作業が合否に影響するかは車種によるため、自動車検査員が判断します。
モニタリング会合では、指定工場の完成検査の途中で、ブレーキテスタやスピードメータテスタの検査のあとに特定 DTC が出たという報告もありました。OBD 検査の位置を工程のどこに置くかも、工場ごとに決めておきます。サーバーや通信の障害で OBD 検査ができないときの特例措置もあり、国土交通省の整備事業者向けのページに実施要領が出ています。
- 予約・入庫の受付で、備考欄の「OBD検査対象」と OBD 検査開始年月日を確かめる
- 受入れのときに自動車検査員が OBD 検査(認証工場は OBD 確認)を先に行い、不適合なら見積とお客様の承認に回す
- 修理のあと、レディネスコードが記録されるまでの時間を工程に見込む
- 再検査待ちの車を一覧にし、合格後に OBD にかかわる作業を足していないかを確かめる
よくある質問
車検証に「OBD検査対象」とあれば、必ず OBD 検査を受けますか?
必ずではありません。型式指定の日から2年と、初めての登録(軽自動車は新規検査)から10か月の両方が経つまでは対象になりません。OBD 検査開始年月日に至っているかを確かめ、特定 DTC 照会アプリで要否を確かめます。
警告灯が消えていれば合格しますか?
合格するとは限りません。特定 DTC が記録されていれば、警告灯が点いていなくても保安基準に適合しない故障があると推断される状態として扱われます。
整備用のスキャンツールで何も出なかったのに、OBD 検査で不適合になりました。
汎用の整備用スキャンツールでは確かめられない DTC もあります。国土交通省は、検査用スキャンツールで OBD 確認を行えば特定 DTC の有無を正確に確かめられるとし、手元の機器で確かめられない・消せない場合は最寄りのディーラーへの持込みを案内しています。
OBD 確認は、車検の何日前までにすればよいですか?
OBD 確認で適合だった車は、照会した日を含めて5日までの間に検査場で検査を受ければ、OBD 検査を省略できる旨の応答が出ます。それより前に確認した場合は、検査場で OBD 検査を受けることになります。確認のあとに OBD の合否に影響する整備をしたときは、改めて確かめてから受検します。無作為の抜取りで、検査場で改めて OBD 検査をされることもあります。

