検定合格警備員の配置基準とは
警備業法第18条は、実施に専門的な知識と能力が要り、事故が起きれば不特定または多数の人の生命・身体・財産に危険が生じるおそれがある警備業務を、国家公安委員会規則で「種別」として定め、その種別の業務は種別ごとの合格証明書を持つ警備員に実施させるよう求めています。
その種別を決めているのが警備員等の検定等に関する規則(検定規則)第1条、どの警備員を何人置くかを決めているのが第2条です。検定は種別ごとに1級と2級に分かれます(第4条)。
配置基準を満たさないまま業務を行うことは第18条に違反し、公安委員会の指示(法第48条)や営業の停止(法第49条)の対象になり得ます。指示に従わなかった場合は、100万円以下の罰金の対象です(法第57条第7号)。
- 対象の種別:空港保安警備、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、核燃料物質等危険物運搬警備、貴重品運搬警備の6つです(検定規則第1条)。
- ただし施設警備は、空港と防護対象特定核燃料物質を取り扱う施設に限って配置基準がかかります。一般のビルや商業施設の常駐警備には、第2条の配置基準はありません。
種別ごとの配置の人数(検定規則第2条の表)
第2条の表を、配置する警備員と人数で整理します。「1級」と「1級または2級」の両方が求められている種別では、1人の1級合格者が両方を兼ねることはできないとされています(警察庁の解釈運用基準)。
| 種別 | 配置する警備員 | 人数 |
|---|---|---|
| 交通誘導(高速自動車国道・自動車専用道路) | 交通誘導の1級または2級 | 業務を行う場所ごとに1人以上 |
| 交通誘導(公安委員会が道路における危険を防止するため必要と認めるもの) | 交通誘導の1級または2級 | 業務を行う場所ごとに1人以上 |
| 雑踏警備 | 雑踏の1級 | 場所を2以上の区域に分ける場合に、場所ごとに1人 |
| 雑踏警備 | 雑踏の1級または2級 | 場所ごと(2以上の区域に分ける場合は区域ごと)に1人以上 |
| 施設警備(空港) | 施設の1級 | 空港ごとに1人 |
| 施設警備(空港) | 施設の1級または2級 | 旅客ターミナル施設と、それ以外の空港の部分ごとに1人以上 |
| 施設警備(防護対象特定核燃料物質取扱施設) | 施設の1級/1級または2級 | 敷地ごとに1級を1人、取扱施設ごとに1級または2級を1人以上 |
| 空港保安警備 | 空港保安の1級/1級または2級 | 業務を行う場所ごとに1級を1人、エックス線透視装置が置かれる場所ごとに1級または2級を1人以上 |
| 貴重品運搬警備(現金に限る) | 貴重品運搬の1級または2級 | 現金を運搬する車両ごとに1人以上 |
| 核燃料物質等危険物運搬警備(防護対象特定核燃料物質に限る) | 同種別の1級/1級または2級 | 運搬車両のいずれかに1級を1人、ほかの車両ごとに1級または2級を1人以上 |
交通誘導で公安委員会が定める路線
高速道路以外で合格警備員の配置が必要になる交通誘導は、都道府県公安委員会が「道路又は交通の状況により、道路における危険を防止するため必要と認めるもの」として認定したものです。警察庁の通達(令和6年3月12日付け警察庁丙生企発第115号)は、認定の考え方を次のように示しています。
- 対象の道路:前年以前5年間の人身交通事故に占める死亡事故の割合が自動車専用道路と同程度以上である幹線道路など、高速道路と同等以上に危険を防止する必要性が高い道路を特定します。
- 区間:1つの路線のうち一部の区間だけを対象にすることもできます。
- 公示の方法:公安委員会の告示(またはその都道府県で通例の形式)で、路線と区間の表として公示します。
- 施行日:告示の公布から6か月を経過する日から施行するなど、警備業者への周知に配慮するとされています。
- 周知:都道府県警備業協会の協力を得るなどして周知に努めるとされています。
交通誘導を行う道路が高速自動車国道または自動車専用道路なら、業務を行う場所ごとに交通誘導の1級または2級の合格警備員を1人以上配置します。それ以外の道路では、都道府県公安委員会が告示で指定した路線・区間に当たるかを、告示の施行日も含めて確かめます。当たらなければ第2条の配置基準はかかりませんが、発注者の仕様書や契約で合格者の配置を求められることがあります。当たれば、業務を行う場所ごとに1級または2級の合格警備員を1人以上配置します。
指定路線の例と、現場ごとの確かめ方
指定路線は都道府県ごとに違い、見直しもあります。たとえば静岡県警察は、2026年4月1日から30路線(国道10路線・県道20路線)を指定しています。神奈川県警察は、一般国道・県道・横浜市道・川崎市道の路線と、高速道路・自動車専用道路を一覧にし、配置路線では歩道なども合格警備員の配置が必要であること、現場の路線名は各道路管理者に確かめることを案内しています。
現場ごとには、次の順で確かめると漏れを防げます。
- 現場の住所と、工事や規制がかかる道路の路線名・区間を、発注者または道路管理者に確かめます。
- 高速自動車国道・自動車専用道路かどうかを確かめます。該当すれば配置が必要です。
- その都道府県の公安委員会告示(都道府県警察の警備業のページ)で、路線と区間が指定されていないかを確かめます。施行日も見ます。
- 歩道や路肩での業務も対象になるかを、告示と都道府県警察の案内で確かめます。
- 対象なら、業務を行う場所ごとに交通誘導の1級または2級の合格者を1人以上割り当て、交代や休憩の間も欠けない組み方にします。
- 契約ごとの書類(施行規則第66条第1項第7号)に、配置する合格警備員の氏名を記載します。
配置したあとに守ること
配置の人数を満たすだけでなく、業務の間の状態も問われます。
- 常時の従事:合格警備員は、業務を行っている間は常時、その業務を実施していなければなりません。業務上の必要で短時間離れるなど、社会通念上業務を続けているといえる場合は除かれます(解釈運用基準第17の2(1))。
- 合格証明書の携帯:業務に就いている間は種別の合格証明書を携帯させ、関係人の請求があれば提示させます(検定規則第3条)。
- 複数の会社で行う現場:同じ場所で複数の警備業者が同じ種別の業務を行う場合は、会社ごとに配置基準を満たす必要があります(解釈運用基準第17の2(3))。
- 雑踏の区域の分け方:区域は、場所の広さ、予想される雑踏の状況、警備員の人数と配置、カメラやセンサーなどの情報通信技術の利用の状況などを勘案して決めます(検定規則第2条の表の備考第2号)。
よくある質問
一般道の交通誘導でも検定合格者は必要ですか。
都道府県公安委員会が告示で指定した路線・区間で行う場合は、業務を行う場所ごとに1級または2級の合格者を1人以上配置する必要があります。指定されていない一般道では、第2条の配置基準はかかりません。ただし、公共工事などでは発注者の仕様書や契約で合格者の配置を求められることがあるので、契約の条件も確かめてください。
合格者が休憩に入る間はどうすればよいですか。
合格者は業務の間は常時その業務を実施している必要があり、短時間離れることが認められるのは社会通念上業務を続けているといえる場合に限られます。休憩の間も合格者が欠けないよう、交代の要員を組んでおくのが確実です。
2級の合格者だけで足りますか。
交通誘導(高速道路・指定路線)と現金の貴重品運搬は1級または2級で足ります。雑踏で区域を分ける場合や、空港・原子力施設の施設警備などでは1級の合格者が別に必要です。
一般のビルの施設警備にも配置基準はありますか。
検定規則第2条で配置基準がかかる施設警備は、空港と防護対象特定核燃料物質取扱施設に限られます。一般のビルの常駐警備には、第2条の配置基準はありません。

