障害福祉の実務ガイド

利用者負担の上限額管理とは管理事業所の決め方・毎月の期限・管理結果1・2・3

利用者負担の上限額管理とは、障害福祉サービスを複数の事業所で使う利用者について、ひと月の利用者負担の合計が負担上限月額(0円・9,300円・37,200円など)を超えないよう、利用している事業所のうち1か所が「上限額管理事業所」として各事業所の負担額を集め、調整した結果を国保連に報告する事務です。期限は自治体の手引きで決まり、神戸市・名古屋市では、各事業所が翌月3日までに利用者負担額一覧表を管理事業所に出し、管理事業所が翌月6日までに上限額管理結果票を各事業所に返します。管理事業所は、その結果を翌月10日までの請求とあわせて国保連へ送ります(名古屋市)。

公開 更新 株式会社ALT

2026年11月7日時点の情報です。末尾の出典(国などの一次資料)で内容を確かめています。個別の事例に当てはまるかどうかは、所管の窓口にもご確認ください。編集方針

上限額管理とは。なぜ必要か

障害福祉サービスの利用者負担は、所得に応じて「負担上限月額」が決まっていて、ひと月に使ったサービスの量にかかわらず、それ以上の負担は生じません(厚生労働省「障害者の利用者負担」)。

1か所の事業所だけを使う人なら、その事業所が上限を超えないように請求すれば済みます。しかし、日中は生活介護に通い、自宅では居宅介護を使う人のように、事業所番号の違う複数の事業所を使う人は、事業所ごとに1割を受け取ると合計が上限を超えることがあります。そこで、1か所の事業所が全体の負担額を集めて、上限に収まるよう配分します。これが上限額管理です。

指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)第22条は、利用者の依頼を受けた事業者が、同じ月に使った自事業所と他の事業所のサービスの利用者負担額の合計を算定し、市町村に報告し、利用者と他の事業所に通知することを定めています(生活介護・就労継続支援なども準用)。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)。入所施設利用者(20歳以上)とグループホーム利用者を除く9,300円
一般2上記以外37,200円

上限額管理が必要になる人

名古屋市の利用者負担上限額管理事務マニュアル(令和2年12月版)は、次の2つを両方満たす場合に上限額管理が必要としています。負担上限月額が0円の人は、複数の事業所を使っていても上限額管理は要りません。

管理する事業所が決まったら、その事業所が利用者に確かめたうえで「利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書」を受給者証とともに市町村(区役所など)に出し、受給者証に管理事業所の名前が記載されます。

上限額管理が要るかどうかの判断(名古屋市の利用者負担上限額管理事務マニュアル令和2年12月版から)

負担上限月額が0円の人は、複数の事業所を使っていても上限額管理は要りません。受給者証の「利用者負担上限額管理対象者該当の有無」の欄が「該当」でない人も要りません。事業所番号の異なる複数の事業所を利用していない人も要りません。どれにも当たらなければ上限額管理が必要で、管理事業所が利用者に確かめたうえで、届出書を受給者証とともに市町村に出します。

  • 受給者証の「利用者負担上限額管理対象者該当の有無」の欄が「該当」になっている
  • 事業所番号の異なる複数の事業所を利用している

上限額管理事業所の決め方

どの事業所が管理を引き受けるかは、名古屋市のマニュアルでは、提供するサービスの量や利用者との関わりの深さ、事務の体制などを勘案して、次の順としています。同じ区分に複数の事業所があるときは、日中活動系は契約日数の多い事業所、訪問系は契約時間数の多い事業所が原則です。

順位利用しているサービス管理する事業所
1居住系(療養介護・施設入所支援・宿泊型自立訓練・共同生活援助。体験利用を除く)その居住系の事業所
2計画相談支援のモニタリング期間が毎月ごとの人(1を除く。新規の支給決定などで毎月のモニタリングが3か月ほどの短い期間に限られる人も除く)指定特定相談支援事業所
3日中活動系(生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援A型/B型)日中活動系の事業所(複数なら契約日数の多い所)
4訪問系(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護など)訪問系の事業所(複数なら定められた優先順位、同順位なら契約時間数の多い所)
5就労定着支援・自立生活援助その事業所
6短期入所だけその月に最後に短期入所を提供した事業所
7共同生活援助の体験利用だけその月に最後に提供した事業所

毎月の流れと期限

翌月3日・6日の期限は、神戸市(2026年6月30日更新)と名古屋市の手引きで同じです。利用者の記名と、国保連への結果票情報の送り方は、名古屋市のマニュアルによります。期限は自治体の手引きで決まっているため、利用者の支給決定をした市町村の手引きで確かめてください。

管理事業所は、上限額管理結果票の内容を利用者に確かめてもらい記名を受け、原本を保管します(名古屋市)。その月に管理事業所だけを使った場合は、上限額管理の事務は要りません(名古屋市)。

上限額管理の毎月の期限(サービス提供月の翌月。3日・6日は神戸市・名古屋市、記名と10日の結果票情報の送付は名古屋市の手引きから)

各事業所は、サービス提供月の翌月3日までに、その利用者の負担額を利用者負担額一覧表にまとめて上限額管理事業所へ出します。上限額管理事業所は、負担額を合計して利用者負担上限額管理結果票を作り、利用者に確かめてもらって記名を受け、翌月6日までに結果票の写しを各事業所へ送ります。翌月10日までの請求では、各事業所は結果票にもとづいて利用者負担額を調整し、上限額管理事業所は結果票情報もあわせて国保連へ送ります。期限は自治体の手引きで決まっているため、支給決定をした市町村の手引きで確かめます。

  1. 各事業所は、サービス提供月の翌月3日までに、その利用者の負担額を「利用者負担額一覧表」(名古屋市の呼び方は「利用者負担額表」)にまとめて上限額管理事業所へ出す
  2. 上限額管理事業所は、集めた負担額を合計し、上限を超える場合は配分を決めて「利用者負担上限額管理結果票」を作る
  3. 利用者に結果票の内容を確かめてもらい、記名を受ける
  4. 上限額管理事業所は、翌月6日までに、結果票(写し)を各事業所へ送る
  5. 各事業所は、結果票にもとづいて自事業所の請求明細書の利用者負担額を調整する
  6. 上限額管理事業所は、翌月10日までの請求とあわせて「利用者負担上限額管理結果票情報」を国保連へ送る(他の事業所は送らなくてよい)

管理結果の1・2・3の意味

結果票の「管理結果」は、次の3つのどれかを選びます(名古屋市のマニュアル)。管理結果が1になる月は、管理事業所が上限に達した時点で、他の事業所に「利用者負担額一覧表は出さなくてよい」と知らせ、他の事業所は提出を省けます。

上限額管理を行った管理事業所は、利用者負担上限額管理加算を算定できます(名古屋市のマニュアルは、調整の計算もこの加算を含んだ金額で行うとしています)。ただし、兄弟姉妹など複数の障害児を管理事業所の中だけで管理した場合は算定できないなどの例外があり(厚生労働省の審査支払等システムの Q&A の別紙)、算定の要件と単位数は報酬の告示と自治体の手引きで確かめてください。

管理結果意味
1上限額管理事業所で利用者負担額を上限まで充当したため、他の事業所の利用者負担が発生しない
2利用者負担額の合計が負担上限月額以下のため、調整を行わない
3利用者負担額の合計が負担上限月額を超えるため、調整を行う

よくある誤り

練馬区の事業所向け資料(令和5年度)は、利用者負担額の請求誤りとして次を挙げています。上限額管理事業所番号の違いは、エラーになり返戻になります。上限額管理以外も含めた返戻の理由と送る前の点検は、「障害福祉の国保連請求で返戻になる主な理由」の記事にまとめています。

  • 受給者証の更新で負担上限月額が変わったのに、前の額のまま請求した
  • 複数の事業所を使っていて上限を超えるのに、上限額管理の届出がされていない
  • 上限額管理結果票と違う負担額で請求した
  • 上限額管理結果票に載っていない事業所から請求があった

よくある質問

上限額管理事業所は、利用者が自由に選べますか。

自由に選ぶものではなく、名古屋市のマニュアルでは、居住系、計画相談支援(毎月モニタリングの人)、日中活動系、訪問系…の順に管理事業所が決まるとしています。届出書は、利用者が管理を依頼したことを届け出る形(利用者の記名)で、管理事業所が利用者に確かめたうえで受給者証とともに市町村に出します。順位の考え方は支給決定をした市町村の手引きで確かめてください。

他の事業所で利用がなかった月も、利用者負担額一覧表を出しますか。

一覧表の代わりに、その月は利用がないことを管理事業所に知らせます。名古屋市のマニュアルは、利用がない事業所が上限額管理結果票に載らないよう、その旨を管理事業所に知らせるとしています。

兄弟で障害児通所支援を使っている場合、結果票は電子で送れますか。

厚生労働省の障害者自立支援給付審査支払等システムの Q&A では、令和7年5月審査(令和7年4月サービス提供分)から、複数障害児用の利用者負担上限額管理結果票の電子請求ができるとしています。

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Welfaria(障害福祉サービス業務クラウド)では、上限額管理の結果を入力し、利用者への請求書・領収書を印刷できます。グループホームの家賃の補足給付も、内訳を分けて表示します。国保連への請求データ(CSV)を作る前には、受給者証・支給量・契約とあわせて上限額管理も確かめ、誤りは「直す画面へ」から直せます。利用者負担額一覧表・上限額管理結果票の作成とやり取りは、これまでどおり事業所間で行います。

就労・通所の「今日」の画面(出欠の札と、期限と確認すること)
今日の出欠から、工賃まで。
グループホームの日々の記録の画面
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画面はデモ環境のサンプルデータです。

※デモはサンプルデータ入りの画面です(止まっているときは起動に1〜2分)。操作した内容は、しばらくすると初期の状態に戻ります。

出典

  1. 厚生労働省「障害者の利用者負担」(負担上限月額の区分)(2026年11月7日時点)
  2. e-Gov 法令検索「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第22条(利用者負担額に係る管理)(2026年11月7日時点)
  3. 名古屋市「利用者負担上限額管理事務マニュアル」(令和2年12月版)(2026年11月7日時点)
  4. 神戸市「利用者負担上限額管理事務」(2026年6月30日更新)(2026年11月7日時点)
  5. 厚生労働省「障害者自立支援給付審査支払等システムに係るQ&Aについて」(複数障害児の上限額管理)(2026年11月7日時点)
  6. 練馬区 福祉部 障害者サービス調整担当課「よくある請求誤り(利用者負担額)」(令和5年度)(2026年11月7日時点)