派遣元管理台帳とは
派遣元管理台帳は、派遣元が派遣先で働く派遣労働者の雇用主として、適正な雇用管理を行うための帳簿です(厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。労働者派遣法第37条第1項が記載事項を定め、第2項が3年間の保存を義務づけています。
作るのは派遣元事業主で、派遣元の事業所ごとに作ります(施行規則第30条第1項)。記載は「労働者派遣をするに際し」行うことになっており(同条第2項)、業務取扱要領では、事項が確定するたびに書いていく意味だと説明されています。苦情の処理、教育訓練、キャリアコンサルティング、雇用安定措置の項目は、それを行うたびに書き足します。
業務取扱要領では、有期雇用と無期雇用の派遣労働者に分けて作ることとされています。また、労働基準法の労働者名簿や賃金台帳とあわせて作ること(あわせて調製すること)もできます。
- 誰が作るか:派遣元事業主(派遣元の事業所ごと)
- いつ書くか:派遣をするときに、事項が確定するたび。派遣中も教育訓練・苦情などを行うたびに追記
- いつまで残すか:労働者派遣の終了の日から3年間
記載事項の一覧
記載事項は、法第37条第1項の各号と、施行規則第31条で定める事項を合わせたものです。業務取扱要領は、これを次の21項目に整理しています。12・18〜21番は、苦情の処理や教育訓練などを行うたびに書き足す項目で、それ以外は派遣をする前に書いておく必要があります。表の「法」は労働者派遣法、「則」は同法施行規則です。
| 項目 | 根拠 | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 1 派遣労働者の氏名 | 則第31条第1号 | — |
| 2 協定対象派遣労働者であるか否かの別 | 法第37条第1項第1号 | 労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か |
| 3 無期雇用か有期雇用かの別(有期は労働契約の期間) | 法第37条第1項第2号 | 有期の場合は契約期間も書く |
| 4 60歳以上の者であるか否かの別 | 法第37条第1項第3号 | 期間制限の例外に当たるかに関わる |
| 5 派遣先の氏名又は名称 | 法第37条第1項第4号 | 法人は名称 |
| 6 派遣先の事業所の名称 | 則第31条第3号 | — |
| 7 派遣就業の場所と組織単位 | 法第37条第1項第5号 | 就業する課・グループなどの組織単位まで |
| 8 労働者派遣の期間と派遣就業をする日 | 法第37条第1項第6号 | — |
| 9 始業と終業の時刻 | 法第37条第1項第7号 | 派遣先からの実績の通知と違えば、その都度書く |
| 10 従事する業務の種類 | 法第37条第1項第8号 | できるだけ詳しく。政令第4条第1項の業務(日雇派遣の例外の業務)は号番号を付す(則第31条第5号。日雇派遣をしないことが明らかで、その旨を台帳に書いた場合を除く) |
| 11 業務に伴う責任の程度 | 則第31条第2号 | 役職があれば具体的に、無ければその旨 |
| 12 苦情の処理に関する事項 | 法第37条第1項第11号 | 申出の日・内容・処理の状況を、その都度 |
| 13 紹介予定派遣に関する事項 | 法第37条第1項第12号 | 紹介予定派遣の場合だけ |
| 14 派遣元責任者と派遣先責任者に関する事項 | 則第31条第4号 | — |
| 15 時間外・休日の派遣就業ができる日数や時間数 | 業務取扱要領 | 派遣契約で定めた場合 |
| 16 期間制限のない派遣に関する事項 | 則第31条第6号〜第9号 | 有期プロジェクト・日数限定・育児や介護の休業の代替など |
| 17 健康保険・厚生年金・雇用保険の資格取得届の提出の有無 | 則第31条第12号 | 「無」なら具体的な理由。手続が済んだら「有」に書き換える |
| 18 段階的かつ体系的な教育訓練の日時と内容 | 法第37条第1項第10号・則第30条の2 | 行うたびに |
| 19 キャリアコンサルティングの日と内容 | 則第31条第11号 | 行うたびに |
| 20 雇用安定措置について聴取した希望の内容 | 則第31条第10号 | 聴取した日付と希望する措置 |
| 21 雇用安定措置の内容 | 法第37条第1項第9号 | 実施した日付・内容・結果。直接雇用の依頼なら派遣先の回答も |
派遣元管理台帳の見本(Excel・記入例つき)
業務取扱要領の21項目を、派遣前に書く事項と、行うたびに書き足す事項(苦情・教育訓練・キャリアコンサルティング・雇用安定措置・実績の違い)に分けた1人1枚の台帳です。法令で決まった様式ではありません。
国が指定した様式ではありません。記入例は架空のものです。御社の運用に合わせて直してお使いください。
保存期間3年の数え方と、電子での作成・保存
派遣元管理台帳は3年間保存します(法第37条第2項)。数え始めるのは「労働者派遣の終了の日」です(施行規則第32条)。業務取扱要領では、派遣契約が更新された場合は、更新後に定めた派遣期間の終了が「労働者派遣の終了」になるとされています。
さらに、同じ派遣労働者を同じ就業の場所・組織単位で働かせる派遣(期間制限の例外に当たるものを除く)では、前の派遣の終了から次の派遣の開始までが3か月以下なら、契約が更新されていなくても「終了」とは扱いません。保存は事業所ごとに行い、紹介予定派遣とそれ以外の派遣は別々に管理するのが適当とされています。
紙ではなく電子で作ることもできます。業務取扱要領では、電子計算機のファイルや磁気ディスク等で作成・保存し、必要なときに画面に表示し、書面に出せるようにしておくこととされています。紙の台帳をスキャナで読み取って保存する方法も示されています。
| 場面 | 保存期間の起算日 |
|---|---|
| 派遣期間が終わって契約を更新しなかった | その派遣期間の終了の日 |
| 派遣契約を更新した | 更新後に定めた派遣期間の終了の日 |
| 同じ人を、同じ就業の場所・同じ組織単位に、3か月以下の間を空けて再び派遣した(期間制限のない派遣を除く) | 前の終了は「終了」と扱わず、次の派遣の終了の日から数える |
派遣先管理台帳との違い
派遣先も、法第42条に基づいて派遣先管理台帳を作ります。名前は似ていますが、作る人・記載する事項・作らなくてよい場合が違います。派遣先は、派遣就業をした日や始業・終業の時刻などを、1か月ごとに1回以上、一定の期日を定めて派遣元に通知しなければなりません(施行規則第38条)。派遣元は、この通知の内容が台帳に書いた予定と違うときは、その都度、派遣元管理台帳に書きます(施行規則第30条第3項)。
派遣先は、派遣先管理台帳に派遣就業をした日や日ごとの始業・終業の時刻などを記載します。そのうえで、1か月ごとに1回以上、一定の期日を定めて、その内容を派遣元に通知します。派遣元から請求があったときは遅滞なく通知します。派遣元は、通知の内容を派遣元管理台帳に書いた予定と照らし、違うときはその都度、派遣元管理台帳に書きます。
| 比べる点 | 派遣元管理台帳 | 派遣先管理台帳 |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働者派遣法第37条 | 労働者派遣法第42条 |
| 作る人 | 派遣元事業主(派遣元の事業所ごと) | 派遣先(事業所等ごと) |
| 作らなくてよい場合 | 規定なし | 派遣労働者の数と、その事業所等で雇う労働者の数の合計が5人を超えないとき(則第35条第3項) |
| 中心になる記載 | 派遣先・期間・業務、教育訓練、雇用安定措置、苦情、社会保険の届出 | 派遣就業をした日、日ごとの始業・終業の時刻と休憩、従事した業務、苦情、教育訓練 |
| 保存 | 3年(派遣の終了の日から) | 3年(派遣の終了の日から) |
| 相手への通知 | — | 就業の実績などを1か月ごとに1回以上、派遣元へ(則第38条) |
作り方と、派遣中の更新の手順
- 派遣を始める前に、個別の派遣契約と就業条件の明示の内容から、氏名・派遣先・就業の場所と組織単位・期間・就業日・時間・業務・責任の程度・派遣元責任者と派遣先責任者を書く
- 協定対象か否か、無期か有期か(有期は契約期間)、60歳以上か否かの別を書く
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の資格取得届の提出の有無を書く。「無」なら具体的な理由を書き、手続が済んだら「有」に書き換える
- 期間制限のない派遣(有期プロジェクト・日数限定・休業の代替など)なら、その旨と必要な事項を書く
- 派遣中は、派遣先から毎月届く就業の実績を見て、予定と違う日や時間を書き足す
- 教育訓練・キャリアコンサルティング・雇用安定措置の希望の聴取と実施・苦情の処理を、行うたびに日付と内容を書く
- 派遣が終わったら終了の日を確かめ、そこから3年間、事業所ごとに保存する
よくある質問
派遣元管理台帳に決まった様式はありますか。
厚生労働省の業務取扱要領には記載の例が載っていますが、法令で決まった様式はありません。業務取扱要領では、所要の事項が記載されていれば足りるとされています。
労働者名簿や賃金台帳とまとめて作ってもよいですか。
はい。業務取扱要領では、労働基準法第107条の労働者名簿や第108条の賃金台帳と、派遣元管理台帳をあわせて作ることができるとされています。その場合も、派遣元管理台帳の記載事項がすべてそろっている必要があります。
紙に印刷せず、システムの中だけで保存してもよいですか。
電子での作成と保存は認められています。ただし、必要に応じて、直ちに画面に表示し、書面を作成できるようにしておくことが条件です(業務取扱要領)。
派遣先から就業の実績の通知が来ないときは、どうすればよいですか。
派遣先は、1か月ごとに1回以上、一定の期日を定めて就業の実績を通知する義務があり、派遣元から請求があったときは遅滞なく通知しなければなりません(施行規則第38条)。期日を契約のときに決めておき、届かなければ請求します。

